情報社会学会で地方自治体のFacebookページに関する研究発表を行いました。
5月25日開催の情報社会学会2013年度年次研究発表大会において、地域SNS研究会事務局の庄司昌彦と菊地映輝が研究発表を行いました。
発表は大会内のWork In Progress発表セッションで行ったもので、「地方自治体Facebookページのリスト化と投稿内容による分類」という題目で発表しました。
本発表の内容は、地方自治体が作成したFacebookページの一覧リストを作成し、各ページの投稿内容をもとに3分類を行ったというものです。以下に発表の内容を要約したいと思います。
現在、地域ソーシャルメディアを取り巻く状況として相次ぐ地域SNSの閉鎖があります。その一方で、地方自治体が大手ソーシャルメディアに続々と参入し始めており、そうした流れの中で、佐賀県武雄市など多くの自治体がFacebookページを開設しています。
こうして作成された「自治体Facebookページ」ですが、現状では大きな問題を抱えていました。それは、第一に、せっかくコストをかけて開設したFacebookページが人々になかなか認知されず、「いいね!」数が伸びないこと。第二には、非公式に作成されたページが、あたかも自治体が公式に開設したページかのように誤認されてしまうことです。
こうした問題を解決する一助として、地域SNS研究会では自治体Facebookページの一覧リストを作成しました。
http://www.local-socio.net/2013/02/facebook_3.html
今回の発表では、作成したリストをもとに自治体Facebookページの主観的な分類も行なっています。分類の基準は、Facebookページに投稿されている内容が自治体の内と外どちらを対象にしているのかというものです。この基準をもとに、自治体内の住民に向けた①「行政情報発信型」、自治体外の観光客などに向けた②「地域情報発信型」、内外両方の人々を対象にした③「ハイブリッド型」の3種類に自治体Facebookページを分類しました。
その結果として、①~③ではそれぞれメディアとしての性質が大きく異なることが明らかになりました。自治体Facebookページは現状では十把一絡げに扱われがちですが、それぞれを異なる目的のメディアとして捉えていく必要性があるのです。
さらに、ページのタイプによって獲得できる「いいね!」の数にも違いが見られました。地域の名所や特産品など観光情報を発信する②「地域情報発信型」のページの方が、①「行政情報発信型」に比べて「いいね!」をより多く獲得できる傾向が判明したのです。
今回の発表内容は、現在取り組み中(=Work In Progress)のものにつき、基礎的な調査に留まっていますが、今後は今回の発表をベースに、客観的分類の実現や自治体Facebookページ一覧サイトの作成、他のソーシャルメディアとの比較などを行なっていきたいと考えています。
(地域SNS研究会事務局 菊地映輝)