地域SNS事例集: 国内の地域SNSは157事例

2018年度版の国内・海外地域SNS事例集を公開します。

この地域SNS事例集は、2006年より継続的に調査を続けてきたものです。
この調査では、毎年同じ集計方法に基づき、サイトが存続している地域SNSをリストアップします。

昨年度の公開分はこちらをご覧ください。

1.今年は全157事例を確認、そのうち更新存続は73事例

2018年1月時点で、日本国内の地域SNSは157事例が確認されました。

昨年度の調査より、残念ながら無効になってしまったサイトや閉鎖してしまったサイトがいくつかありました。こうした地域SNSの数は、2010年のピークを境にいよいよ減少しているのが現状です。

2006年2月  21事例
2007年5月 252事例
2008年2月 336事例
2009年3月 404事例
2010年2月 519事例
2011年2月 469事例
2012年3月 354事例
2013年2月 308事例
2014年2月 263事例
2015年3月 235事例
2016年3月 195事例
2017年2月 175事例
2018年1月 157事例

地域SNS事例集

また、全157事例中には、ログインしなければ更新状況が分からない内部公開用のサイトも多数含まれています。これらのサイトには、ページは存在しているものの現在使われていない可能性が高いものも含まれています。

一方で、外部から直近6ヶ月以内の更新が確認できるものは73事例ありました。この中には、今でもほぼ毎日書き込みがあり活発に運営されているものもわずかながらに発見することができました。

2.新興勢力としての「ご近所SNS」が台頭

2010年を境にどんどん数が減少している地域SNSですが、最近では新しい傾向が見られています。それは、同区内や800m以内など、ごく狭い地域をターゲットにした比較的新しい地域SNSの台頭です。主なサービス事例には「マチマチ」、「PIAZZA」、「Soylink」などがあります。これらの事例は、以前本サイトでも紹介しました。

例えば「マチマチ」が「スマホでご近所掲示板」を謳っているように、こうした新興地域SNSの特徴は、運営や参加のコストが高い自治会に代わる役割を志向していることです。利用する際は実名登録が義務付けられ、自治の現場での働きに貢献するケースが増えています。マチマチの登録者には独身の若年層も多く、スマホの普及やSNSの浸透を背景として各地に広がりつつあります。

東京都渋谷区、豊島区、文京区、茨城県水戸市など自治体と協定を締結する例も登場しており、さらに利用者は地域の情報を共有することができるようになりました。これまで減少を続けてきた地域SNSの新しい動向として注目し、上記の3例は今年度の調査より新事例として追加しています。

本調査では今後も新興地域SNSに着目し、その動向を追っていきたいと思います。以下の記事についても、ぜひ合わせてお読みください。

※この事例集は庄司昌彦(国際大学GLOCOM准教授/主任研究員)が2012年度文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C))を受けて実施した研究成果の一部です(研究課題番号24500315)。