ヘルシンキでMaaSを可能にしたオープンデータ

Photo credit: beije via Foter.com / CC BY

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以前の記事でご紹介した通り、ヘルシンキで使われているMaaSのサービスの『Whim』は目的地を選択するとバス、通勤列車、トラム、地下鉄、フェリー、タクシー、レンタカーを使って経路を検索し、ユーザーの嗜好に合わせて好きな経路を選んで利用することができます。一企業が大量な道路情報をゼロから用意し処理するのは大変ですが、ここで活用されたのがオープンデータでした。今回はヘルシンキやEUにおけるMaaSとオープンデータとのかかわりについてご紹介します。

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ヘルシンキでは、2009年に地方自治体レベルでのオープンデータのアイデアがうまれ、2011年にHRI(Helsinki Region Infoshare)が開設されました。このHRIではヘルシンキのメトロポリタン地区のオープンデータを自由に使えるようにしており、公共交通データや建造物をはじめ経済や税金、文化、健康など様々なカテゴリーのオープンデータが用意されています。

いくつかの企業がすでにここで公開されているオープンデータを活用してサービスを開発しており、例えば冒頭で紹介した『Whim』以外にも、同様のサービスとして『Tuup』があります。Tuupはヘルシンキのメトロポリタンエリアで展開されており、目的地を指定すると、経路と費用を比較し、事前にまとめて運賃を支払うことが可能なサービスです。また、『Kyyti』というUBERに似たTuup独自のタクシーサービスも運営しており、Tuupと組み合わせて使うことも可能です。

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いわゆるMaaS的なサービス以外にも、都市情報に関するオープンデータを活用することで、新たなサービスを提供している例があります。例えば『BlindSquare』は視覚障碍者向けのガイドアプリで、GPS情報などから周囲のお店やスポット情報を音声で知らせてくれます。

また、2010年にヘルシンキ、エスポー、ヴァンタ、カウアイアネン、ケラバ、キルコニミ、シプーからなる共同地方自治体が「Helsinki Region Transport(HSL)」を組織しました。HSLの業務内容としては地域の公共交通機関の計画と整備や運航条件の改善、公共交通運賃と発券システムと航空券の価格承認、チケット販売管理・検査などがあります。これらの業務に加えて、オープンデータやオープンAPIの供給、これらのデータを用いる開発者のサポート、MaaSのスタートアップ企業のサポートも含まれます。HSLが供給するオープンデータのデベロッパーアカウントは、2009年9月までには30人ほどでしたが、3年後となる2012年12月には670人まで増え、アプリの本数も5本以下から30以上までに増加しました。

 

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