地方豪族企業がIT企業と協働して地域情報化に貢献
前々回、前回と「計算センター系地方豪族企業」について紹介してきました。1960年代に相次いで創立された、計算センターを出自とする地方豪族企業がその地域の情報化を支えています。
その一方で、情報系ではない企業が新たに情報分野に参入する事例もあります。
2016年10月、地方自治体の様々な取り組みを情報面から支援するために、官民ビッグデータを集約し、可視化するウェブアプリケーションである、政府の「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」を活用した「地域データ利活用促進業務」として人材育成等を鹿児島市の総合商社である南国殖産株式会社と株式会社チェンジとの企業共同体が行っていくことを発表されました。
この事業はモビリティ、IoTビッグデータ、クラウド、セキュリティなどのテクノロジーを活用したサービス及びIT人材育成の研修を行う株式会社チェンジと組んで行うものです。この事業では、鹿児島県の自治体・高等教育機関・NPO等において、RESASを活用できる人材を創出することを目的としています。また、RESASを用いて、鹿児島県における政策課題を分析し、政策形成を支援します。本業務によって、鹿児島県におけるRESASの普及、エビデンスに基づく政策形成の促進が期待されます。南国殖産株式会社のように、地域経済をよく知る地方豪族企業が、地域のデータ活用の中核を担うのは自然な流れであるといえるのではないでしょうか。
今後は、IoTなどの技術を通じて、身の回りのあらゆる分野に情報通信機器が入りこんでいきます。今回の契約のように常に生活に密着した分野でビジネスを立ち上げてきた地方豪族企業が、自らITサービスを手がけるか、ITサービスを手がける企業のパートナーとなることによって、今後の地域情報化の担い手の中核的な存在となっていく可能性があります。