日本初のシェアリングエコノミー ビジネスカンファレンス「シェア経済サミット」

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11月25日、東京都港区で日本で初めての本格的なシェアリングエコノミーに関するカンファレンス「シェア経済サミット」が開催されました。

国内外でシェアリングエコノミーを推進するオピニオンリーダーや、シェアビジネスを運営する企業・行政関係者が一堂に会しました。
今回はその内容の一部をご紹介します。

●基調講演

基調講演を行ったのは、ニューヨーク大学経営大学院教授で、シェアリングエコノミーの第一人者でもあるアルン・スンドララジャン教授です。
スンドララジャン教授の著書「The Sharing Economy: The End of Employment and the Rise of Crowd-Based Capitalism」は、今月、日本語訳も出版されたばかりです。

講演はこの内容に基づいて「シェアリングエコノミーの未来――クラウドベース資本主義はわたしたちの生活をどう変えるのか?」と題し、シェアリングエコノミーの出現を「institution-based economyからcrowed-based economyへ」の変化だと説明します。

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モノやサービスの「信頼性」を裏付けるのが、従来は企業や政府など(institution)による法律や規準だったものから、デジタルコミュニティにおいて共有(=crowed化)されたブランドに変化しているというのです。

UberやAirbnbなどのすでに広く普及しているシェアリングサービスでは、ホストとゲストの相互評価レビューがなされ、その評価が低いとサービスを利用できなくなることによって、サービスの質を維持しているとされています。
さらにホスト・ゲストのアカウントはFacebookやLinkedinなどの実名制SNSアカウントやクレジットカード情報に紐づけられており、これらを介したコミュニティ上でサービスがやり取りされています。利用者はFacebokの友達が高評価をつけているホストを選んだり、友達の友達だから家に泊めたりするわけです。

つまり、Facebookなどのデジタルコミュニティを通じた口コミ(レビュー)が規制として働き、利用者・提供者双方に安心を与えるブランドの要素になっており、そのブランドがサービスの価値を高め、さらに利用者を呼ぶことになるのです。スンドララジャン教授は、これを「デジタルコミュニティの時代の新たな信頼の形」としています。
実際に、フランスの相乗りサービス「BlaBlaCar」の利用者に対する調査では、相乗りする相手に対する信頼度は仕事の同僚よりも高く、家族や友人にも匹敵するという結果だったそうです。

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しかし、それでも事故や事件は起こります。それに対して、institutionである行政や企業は、新しい法制度や規準を設けることで、こうしたデジタルエコノミーなど全く念頭になかった時代のシステムをアップデートし、制度面でも信頼を裏付けられるようにしなければなりません。どのような情報を信頼するかは、国によって違うそうです。重要なのは、様々な情報を提供し、利用者がどれを信頼するかを選び取れるようなシステムにすることだとスンドララジャン教授は指摘します。

●シェアリングシティ宣言

また、このサミットに合わせて、千葉市、浜松市、島原市(長崎県)、多久市(佐賀県)、湯沢市(秋田県)が「シェアリングシティ宣言」を発表しました。

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これらの市では、シェアリングエコノミー協会に加盟する企業と連携し、子育て支援、クラウドワーキング、観光振興などのシェアサービスが、今後、市の政策に取り入れられます。
ソウルやアムステルダムのような包括的かつ大規模なものではありませんが、市が直面する社会課題解決に向けた取り組みが注目されます。

 ●国内のシェア企業

もちろん、国内のシェアビジネス企業も多数登壇し、それぞれの取組み、経営理念、成長戦略などについて話し合うセッションが行われました。

登壇したのは、以下の企業です。
Uber Japan               ・Airbnb Japan
TABICA(観光体験)            ・スペースマーケット(イベントスペースシェア)
Asmama(子育て)          ・キッズライン(ベビーシッター)
freee(クラウド会計)         ・Huber.(観光ガイド)
BUZZPORT(観光ツアー)        ・notteco(相乗り)
パソナ(マーケティング)        ・島原観光ビューロー(観光)

他にも注目の企業によるトークイベントがたくさん開催されていました。

いずれのセッションにおいても、「まずはやってみること」が強調されていました。シェアリングエコノミーがまだ法整備で不十分な点があるのは確かです。しかし、企業であれ、行政であれ、まずはやってみて、問題が起こったらそこで解決していくこと、そしてその共助の解決方法を共有し、成功事例が蓄積されていけば、日本にもシェアリングエコノミーが根付くだろうと述べられていました。

●参考記事
「シェアリングエコノミー」で地方の課題解決を(NHK、11月24日)
シェアビジネス 官民で信頼と安全確保したい(YOMIURI ONLINE、11月25日)
「シェアリングエコノミーの原動力は2枚の写真で分かる」、第一人者が語る(IT Pro、11月25日)
[イベントレポート]シェアリングエコノミーの最前線を体感「Share!Summit」(EVENT MARKETING、11月28日)