MaaSを行う企業に日本の自動車系企業が多額の出資を実施

Photo credit: TWINTHOMAS via Foter.com / CC BY-ND

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「Mobility as a Service」と略され、「人の移動」に着眼点をおいた新しい交通機関の使い方の「MaaS」については、これまでもいくつか紹介してきました。

ABIリサーチは、MaaSセクターの価値は、2030年に1兆ドルを超えると予測しているようです。

ヘルシンキでアプリ「Whim」を提供している、MaaSの企業「MaaS Global」は、2017年6月19日に1000万ユーロ以上の増資を実施し、トヨタ傘下のトヨタファイナンシャルサービス(以下、TFS)とあいおいニッセイ同和損害保険(以下、AD)がその大部分を引き受けました。

MaaSは、公共交通機関やレンタカー、タクシー、レンタサイクルなどを組み合わせて人の移動を行うサービスであり、これらが発達すると将来的には自家用車を所有する人の減少が予想されます。この点で、新車販売を手掛けるトヨタ系の企業が出資をするのには一見すると違和感を感じます。

しかし、MaaS Globalのプレスリリースでは、TFSもADも、「大都市における自動車所有への関心が低下するにつれて、モビリティサービスをビジネスの一部にする」という戦略的な目的をもっているとのことです。また、あいおいニッセイ同和損害保険のプレスリリースでは、出資した二社が「コネクティッドカー・自動運転技術・電動化の進展や、シェアリングエコノミーの進展によるお客様消費行動の変化(クルマの所有から利活用へ)に適合した、より付加価値の高いサービスの提供を目指していく」とあり、新車販売の分野だけにとどまらず、人の移動に関するサービスへ事業分野を拡大していく意図を見ることができます。なお、トヨタグループは、2016年にUberにも少額の出資をしており、グループの収益機会の拡大を図っています。

Photo credit: joiseyshowaa via Foter.com / CC BY-SA

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この出資に際し、TFSは「MaaS Globalのノウハウを得て、分析したデータをトヨタ車の顧客に還元したり、結びつきを強めたりする手段」として使い、ADは「MaaS Globalに社員を派遣し、新たな移動手段から派生する保険商品の研究開発にも生かす」とプレスリリースで明らかにしています。

なお、TFSとADは金融と保険が一体となったサービスを90年代から共同で展開しており、共同出資による子会社も設立していました。また、日本経済新聞によると、2017年5月にはADの会長にトヨタ自動車の取締役を迎えるなど、トヨタグループとADの間に人的交流もみられ、両社は近い関係にあるといえそうです。ADのプレスリリースでは国内外での新しいモビリティ社会の到来を見据え、今後も次世代モビリティ事業における協業体制をさらに強化していくそうです。

日本経済新聞によると、サンポ・ヒータネンCEOの話としてMaaS Globalは、現在アジアの複数のエリアで事業化に向けて議論をしており、シンガポール、ソウル、そして日本の複数都市がその候補になっているそうです。今回の出資により日本事業の実現に近づき、将来的には日本でもMaaSが普及していくことになるかもしれません。

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