内閣官房から『災害対応におけるSNS活用ハンドブック』が公開
2017年3月に、内閣官房から『災害対応におけるSNS活用ハンドブック』が公開されました。その内容について簡単に紹介します。
まず、地方公共団体の災害対応におけるSNS活用状況について述べています。災害対応としてSNSを活用している自治体数は年々増えており、平成26年は地方公共団体(全国市区町村)1,741団体の38.5%、27年は48.9%、28年は53.6%と過半数を超えました。これは、平成28年調査時には、人口の約81.5%を網羅する値です。SNSの用途としては、現状多くの団体が災害時に情報発信を行うのみの利用となっています。
次に、実際の災害発生時にSNSがどのように活用されたかについての事例も紹介されています。平成28年4月に発生した熊本地震の事例では、熊本市長によるTwitterでの発信内容や、関連自治体のFacebook公式アカウントでの地震発生時のSNSでの情報発信のされかたや発信内容が紹介されています。また、災害発生後の聞き取り調査も行っており、市民から「被害状況や支援状況を示すのみの情報よりも、市民がとるべき具体的な行動などを示した情報発信をしてほしい」との意見があったなど、実際に運用してみてのSNS活用に関する留意点についてまとめられています。
そして、コストをかけずに情報を収集、分析するための手段としてSNSダッシュボードの活用を提案し、そこで情報収集のために検索時に使うべき言葉の例について紹介しています。また、官民が提供する情報収集・分析ツールとして、対災害SNS情報分析システム(DISAANA)の機能の紹介も行っています。また、デマや流言も多く含まれるSNSにおいて、正確な情報を集めるために留意すべき点として、「個々の情報の信頼性に依存しない活用」や「情報分析手段の確保」、「収集・分析体制の確立」を挙げています。
さらには、SNSを活用した一歩進んだ災害対応として、地理情報システム(GIS)上にSNSで収集した情報やインフラ情報を集約する関係情報を整理することなどを推奨しています。
最後に、災害発生時にSNSで対応するための運営体制の工夫や情報発信時の工夫情報収集時に役立てる工夫など、自治体の先進的なSNS活用事例についても紹介しています。