国内で広がるカーシェアリングと、自動車メーカーとの協業

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6月22日、経済産業省が国内のレンタカー、カーシェアリングに関する分析を発表しました。

(参考記事「レンタカー、カーシェアリングが好調(経済産業省)」

それによると、「自動車レンタル業(個人向け)」は2015年、売上高(992億6,100万円、+4.9%)・契約台数(642万5,183台、+5.6%)ともに前年を上回り好調に推移しているとのことです。

これらのほとんどはいわゆる一般的な「レンタカー」ですが、このブログで何度かご紹介した「レンタカー型カーシェアリング(会員制によって、自家用自動車を業として貸渡すこと)」も含まれています。2014年3月末時点で、貸出車両数は1万2,686台、292の事業者と、8,078の貸出拠点があるそうです。これは貸出車両数でレンタカー業全体の約3%になります。
徐々にではありますが、国内でもカーシェアリングが広がりつつあるようです。

しかし、これとは対照的に、家庭での自動車の保有台数は減少傾向です。特に、駐車場代などが高く公共交通機関が発達している東京や大阪などの都心部で顕著に「自家用車離れ」が進んでいます。

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出典:経済産業省

そこで、国内の大手自動車メーカーはこうした自動車の「所有から共有へ」という状況への対応策を打ち始めました。

まず、ホンダは都心部を中心に実験的にカーシェアリング事業の拡大に乗り出しました。

「ホンダ、大都市でカーシェア事業 世界戦略車も増やし販促」(日本経済新聞、6月22日))

国内で販売される一般車だけでなく、福祉車両や限定モデル、スポーツタイプ、世界販売モデルなど様々なニーズにこたえる品揃えのいわば「試し乗り」で潜在的な需要を喚起し、自家用車購入の種まきとする意向です。
地価が高く、若者が車を持ちにくい渋谷区や新宿区で60台を用意し、すでに4500人の会員がいるそうです。

また、トヨタは先月、アメリカのカーシェアリング最大手「Uber」への出資を発表しました。

「トヨタ、米ウーバーに出資へ-ライドシェアで自動車大手の競争激化」ブルームバーグ、5月25日))

Uberは自動車を持っていない人に自動車をリースし、そのドライバーが運転で得た収入からリース料を支払うプログラムを行っていますが、ここにトヨタ車を提供し、カーシェアリングに関する知見を得ることを目的としているそうです。
世界三大自動車メーカーといわれる他の2社、ドイツ・フォルクスワーゲンはGett(イスラエル)と、アメリカ・GMもLyft(アメリカ)と、それぞれUberと競合するカーシェアリング企業とすでに提携しています。

近年、国内外で自動車メーカーの燃費等の不正表示が連続していることもあり、自家用車離れが進むのは日本だけではありません。
「所有から共有へ」変化しつつある流れに、各メーカーも適応する術を模索しているようです。