クラウドファンディングでの寄付やスキルの提供で地域課題を解決する「LOCAL GOOD」

クラウドファンディングの仕組みを地域活性化に活かす取り組みは以前ご紹介しました。今回は、クラウドファンディングによって活動の資金を集めるだけにはとどまらず、サイト上で地域の課題やデータについて知ることができたり、課題を解決するのに必要な専門的なスキルや物品を集めたりすることで地域課題の解決に取り組むウェブサイト「LOCAL GOOD」を紹介します。

「LOCAL GOOD」は2014年6月にNPO法人「横浜コミュニティデザイン・ラボ」とアクセンチュアのCSRチームによって横浜ではじまった、地域課題を解決するためのプラットフォームです。公式サイトの説明によると、LOCAL GOODは「サービス、 モノ、 カネ、 ヒト、 情報の循環をつくっていくことを目指し、インターネット上の場と、地域の現場両面から、地域をよくする活動に市民、企業が参加するきっかけをつくる」ことを目指しています。現在は横浜に加え、福岡、北九州が加わり3つの地域に対応しています。

「LOCAL GOOD」では、地域の課題や、その解決を支援するNPO団体の場所、課題解決のために活動する個人を3Dマップで観ることができます。また、地域の住民が課題を投稿して地図上で確認できるようになっていたり、公開されている様々なデータを元に作成されたグラフやインフォグラフィックスを閲覧できるようになっていたりと、地域の課題を発見するための材料として活用できます。

LOCAL GOOD-YOKOHAMA-3Dマップより引用

LOCAL GOOD-YOKOHAMA-3Dマップより引用

そうして明らかになった課題を解決するために、クラウドファンディングのプロジェクトを作り、そこで必要になる資金やスキルを持った人材、物品を募集することができます。一般的なクラウドファンディングサイトでは資金を集めるのみですが、専門的なスキルを持った人もボランティアとして募集し、地域の課題を解決するのに役立てられるのはこのサイトならでは機能と言えそうです。例えば、「地域作業所で作られたイベントグッズを活用し、ダウン症のある人とふれあう「チャリティウォーク」を山下公園で開催したい!」というプロジェクトでは、クラウドファンディングでプロジェクトを運営するための資金を募集しているのと同時に、ウェブデザイナーや搬入搬出車の運転手の人材を募集したり、イベントで使用する車やテントの提供を呼びかけています。

「LOCAL GOOD」での活動内容はインタビューやニュース記事、イベントレポートとしてサイト上に掲載されます。現在どのような活動が行われているかを知ることで、各個人が活動を起こすきっかけにもなるでしょう。

日本の3地域を対象に、地域の課題解決をはかる「LOCAL GOOD」ですが、このサイトで使われているクラウドファンディングのシステムは、バルセロナのクラウドファンディングサイト「GOTEO」で配布されているソースコードがベースになっています。「GOTEO」は開放性・中立性・透明性・独立性の4つを基本原則としており、クラウドファンディングのサイトもオープンソースで制作しています。「GOTEO」が運営するクラウドファンディングサイトも「LOCAL GOOD」と同じようにバルセロナの地域課題解決のためのプロジェクトを取り扱っています。

例えば、以下の画像のプロジェクトでは、古い学校を改築して教育のための新しいコミュニティにすることを目的として資金を集めるほか、太陽光発電システムや配管を設置できるスキルをもったボランティアを募っています。

「GOTEO」でのプロジェクトの一例(Escoliña De Vilarより引用)

「GOTEO」でのプロジェクトの一例(Escoliña De Vilarより引用)

地域の課題を行政に任せきりにするのではなく、地域住民自らが主体となってプロジェクトを立ち上げ、資金や人材、物品を持ち寄り自らの力で解決していくという「LOCAL GOOD」は多くの人がインターネットを利用する現代だからこそできる新しい社会参加の場と言えそうです。

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