地域SNS研究会合宿@会津 報告レポート
3月3日、4日の2日間に渡り、福島県柳津町で地域SNS研究会合宿が行われました。
この合宿は、会津柳津温泉「花ホテル滝のや」を会場に、会津地域のSNS「会津sicon」を運営する株式会社デザイニウムと花ホテル滝のやの協力のもと開催されました。当日は各地から地域SNS関係者10名が参加し活発な議論が行われました。以下、合宿の様子を簡単にリポートします。
■1日目
合宿を始めるにあたり、参加者による自己紹介と「何に関心があるか」「合宿に参加した目的は何か」等を発表する時間が設けられ「地域SNSでなければ出来ないことが知りたい」「新聞メディアと地域SNSメディアの連携を探りたい」「議論に留まらず何かモノを作ることに繋げたい」など、参加者それぞれの合宿に対する目標や意気込みが示されました。
続いて「地域SNS/地域ソーシャルメディアの現在と未来について」というテーマで、地域SNSの運営者や研究者による発表が行われました。
最初に地域SNS研究会事務局の庄司昌彦が、相次ぐ閉鎖で地域SNSの数が昨年に続き減少していることや、閉鎖時に運営者側が取るべき対応、近年増加している自治体によるFacebookの活用状況などが解説しました。加えて今回の合宿地である会津地方に根付く「無尽」という文化も紹介されました。
無尽は人々が定期的に集まってお金を積み立て、集計金を抽選で配るなどの庶民金融の仕組みです。以前は全国的に見られたこの文化が会津では今でも根強く残っています。会津在住の参加者からは、同窓生による無尽や同じ職業での無尽など、実際に無尽がどのように行われているのかが語られました。
次に、下北沢の地域SNS「下北沢ブロイラーSNS」を運営する有限会社 第四企画の黒田正信氏による新サービス「ファンジー」のプレゼンテーションが行われました。
ファンジーはWebベースのファンクラブ運営プラットフォームで、同サービスを使うことによりパソコンやスマートフォンを通じて会員管理や課金管理を行うことが可能になります。また会員限定のメールマガジンやブログを作成する機能も実装される予定で、従来のファンクラブ運営にかかっていた様々なコストの軽減が期待されます。
ファンジーの対象ユーザーとして、既にファンクラブを運営している人はもちろん、手間がかかるためファンクラブを運営したくても出来なかった人、さらには従来までファンクラブを運営する対象として考えられていなかった企業ブランドや商品、観光資源や地域などもあり得ると黒田氏は語りました。
参加者からは「課金管理機能の部分がこのサービスの肝になる」「地域に直接お金を落とせる仕組みとして有効ではないか」といった意見が寄せられました。
最後に株式会社手嶋屋の手嶋守氏による地域SNSエンジン「OpenPNE」の現状についての説明がありました。現在手嶋屋では「OpenPNE3 HOUOU Project」として手嶋氏自身によってOpenPNE3の最新版バージョン3.8の開発が進められています。手嶋氏によればOpenPNE3.8は、今までOpnePNE3が抱えていた問題点の改善を目指しており、よりシンプルかつ高速化し、スマートフォン表示にも対応するとのことです。
手嶋氏は「OpenPNE3 HOUOU Project」の説明以外に、現在OpenPNEが導入されている事例を複数紹介しました。そして「企業の健康保険組合サイトなど、OpenPNEがようやく社会の役に立つ使われ方をされ始めた」と現状を分析しました。
懇親会を兼ねた夕食を挟んだ後に「地域に役立つ公共アプリ・サービス開発コンペゲーム」が開催されました。これは、参加者を3つのチームに分け、お題に則ったアプリやサービスの企画書を作成し、どれが一番良いかを競い合うというものです。
今回出題されたお題は「無尽2.0」。各チームが、自分たちのイメージする「無尽2.0」をどうアプリ・サービスに落とし込むのか真剣な話し合いが行われました。中には深夜2時過ぎまでディスカッションが続いたチームもありました。
■2日目
2日目は、前日の夜から行われているコンペゲームの発表と審査が行われました。
各チームが提出した企画書はそれぞれ
・親から送られてくる段ボールの中身が無尽で進化する「わが子に送るふるさと無尽」
・コワーキングスペースを安定して運営する仕組み「Co(講)WorkingSpace」
・無尽開催をアプリで支援する「アイズ(I’s)」
で、各チームが5分間で企画書の内容をプレゼンしました。発表後の審査では、僅差で「わが子に送るふるさと無尽」が優勝しました(優勝チームの考えた企画書はこちらから見ることが出来ます)。
コンペゲーム終了後、今回の合宿全体を通したまとめが行われました。合宿初日の冒頭で各参加者が発表した目的が達成されたかどうかが確認されましたが、参加者の多くが当初の目的以上のものを得ることが出来たようでした。こうして2日間に渡る合宿が終了しました。
花ホテル滝のやの塩田さん、デザイニウムの前田さん本当にありがとうございました。
■会津柳津観光
合宿終了後には参加者で会津柳津の観光を行いました。柳津町は日本三大虚空蔵尊の1つである福満虚空藏尊圓藏寺の門前町として有名で、今年の10月には柳津町で「第10回全国門前町サミット2012 in会津柳津」が開催されることになっています。雪の中の福満虚空藏尊圓藏寺は1200年の歴史を感じさせる静かな佇まいで、そこから一望できる柳津の風景もとても素敵でした。
さらに参加者は、柳津名物の粟饅頭や会津名産の蕎麦といったご当地グルメにも舌鼓を打ち目と舌の両方で会津柳津を満喫しました。